3Dプリンター ABS安定印刷への道⑵ ホウケイ酸ガラス導入

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ABS印刷がいまいち安定してできないので、色々な手法を検討しています。

前回までで、通常ガラスベッドにしたところ、温度差によるガラス破損が確認されました。

そこで、今回は、ホウケイ酸ガラスを試してみました。

ホウケイ酸ガラスとは?

耐熱ガラスとして有名で、熱膨張係数が通常ガラスの約1/3と小さいため、熱衝撃にも強いガラスです。

これならば、3Dプリンタで使用する300℃程度の温度は耐えられるはず。

難点は、値段が高いことですが、アマゾンでは20cmx21cmで1395円/枚と許容範囲なものがありましたので購入してみました。

印刷までの準備

依頼後、実際届いたものをみてみると、厚さ3mmということもあり、頑丈そうです。

サイズは、20cmx21cmなので、MP select miniには大きすぎてそのままでは使用できず、加工しなければなりません。

アマゾンのレビューでは、きれいに割れた、という人もいれば、割れないで粉々になった、など全く異なるレビュー内容が挙がっています。一抹の不安はありますが、硬度が高くてもガラスとしての性質が同じならば、傷をつけたところから割るのはできるはず、ということでトライしてみます。

まずは、端の方で試し割りしていきます。ガラスカッターで傷をつけて、プライヤーでつかんで、折り曲げます。

こんなに力入れて大丈夫か、と思うくらい力を入れてようやく割れました。なんとかできそうです。

狙ったサイズに切り出しを行いましたが、大きく切り出すところで、ガラスへの傷の入れ方が浅かったせいか、狙いのラインで割れずに、ちょっとブサイクになってしまいました。が、自分で使うだけなので、気にしません。

あとは、破断したところを、100均で購入したダイヤモンドやすりで、研磨して手を切らないようにして完成です。ステージには3方向をクリップで停めることにします。

印刷結果

厚みが3mmとこれまで使用してきた2mmガラスとは異なるので、Z軸調整を行います。1mmくらいなので、使用したスペーサーはそのままで、ネジだけでZ軸調整を行いました。

室温でZ軸調整後、ステージの温度を80℃まで上げたところで、Z軸再確認。通常ガラス使用時には、熱をかけるとZ軸が狂っていましたが、今回は大丈夫です。ガラスの熱膨張係数が低下したことと、厚みが2mmから3mmに変わった影響もありそうです。

さて、印刷です。アマゾンのレビューでは、ガラス面そのままでもくっつくという意見もありましたが、表面の平滑具合を見ると、くっつく気がしません。一応、Brim付きで行ってみましたが、案の定1層目からABSはガラス面にくっついていません。

そこで、続いて、印刷物とステージのくっつきがいいと評判のケーブをガラス表面に吹きかけて印刷してみます。確かに最初の数層はガラス面にくっつきます。しかし、保持力が弱いせいか、数十層積んでいくと、熱収縮力に耐えられなくなり、ガラスから剥がれてしまう様子が確認できました。

続いて、こちらも評判の良いトンボ製ピット糊(消えいろピット)を試してみます。Brim付きで印刷したところ、数十層問題無し。最終的に剥離は発生しませんでした。

しかし、少々反り有り。

うーん、寸法通りではありませんが許容範囲かな、という出来栄えです。

結果

ホウケイ酸ガラスにピット糊を使用することで、一旦ABS印刷が可能になる条件を見つけることはできました。

後始末は水で洗うだけと簡単です。

ただ、どうしても比較したくて、結局3Mプラットフォームも購入して、試してみました。こちらの結果も後日記事にしたいと思います。